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**薬草としてのハコベ:心身を癒す「野の菜」**
「薬」という言葉には、草冠に「楽」がついています。野に生える草が、私たちの心身を楽にしてくれるのです。野草を食べたり、煎じて飲むことで、心と体のバランスが整い、気持ちも楽になる。これこそが薬草の役割です。
ハコベは、そんな「野の菜」。食べられるだけでなく、薬にもなる野草で、春の七草のひとつでもあります。畑や道端など、どこにでも見られるハコベは、年中手に入る野の恵みです。
**ハコベの「心身浄化・精気充実効果」**
昔から伝わる話ですが、生のハコベをしぼって青汁にして飲み続けると、2週間ほどで体に大きな変化が起こるといわれています。朝の目覚めがすがすがしく、頭や体の芯に残っていた倦怠感がすっかり消え、活力がみなぎってくる。まるで心身が浄化され、生命力が満ちてくるようです。この効果を私は「心身浄化・精気充実効果」と呼んでいます。
**小さな生命も知っている、ハコベの力**
ハコベは鶏や小鳥たちの大好物です。ハコベで育った鶏はとさかの色が鮮やかになり、健康的な卵を産みます。小鳥たちはハコベの葉や花、実をついばみ、茎だけになるまで食べ尽くします。彼らは、体に良いものを本能的に知っているのでしょう。
ハコベはタンパク質が多く、カルシウムや鉄分も豊富。葉緑素や酵素、未知の成分も含まれており、ミネラルとビタミンが体内の調整を助け、私たちが本来持っている力を引き出してくれます。これがハコベの心身浄化・精気充実効果の秘密です。
**ハコベと女性の健康:産後の癒し**
佐渡では、ハコベは「母乳をよく出す薬草」として知られてきました。出産のために里帰りしたお嫁さんには、ハコベのおひたしや味噌汁が振る舞われました。日本各地でも、ハコベは産後の浄血や利尿作用、催乳の民間薬とされています。『佐渡に於ける薬草』には「産後の乳量を増やし、胃腸病にも効く」と記されています。
**薬食一体の知恵:ハコベ塩と歯磨き**
また、江戸時代にはハコベ塩が歯茎の出血や歯槽膿漏の予防に使われました。ハコベの青汁に天然塩を混ぜ、土鍋で煎って乾かしたものを指先につけて歯を磨く。これは、先人の知恵の結晶です。
自然の恵みである野の草を食べる「土食一体」の暮らし。その中で、薬草の力を取り入れることは、まさに「薬食一体」の生活と言えるでしょう。
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